ローライフレックス2.8Eのオーバーホールが来ました。
長年使われていなかったようで、巻き上げクランクの回転が重くてシャッターも粘っていますが、レンズのカビや曇りが僅かなのが救いです。
ボードからシャッターを外して分解します。ボードから外さずにシャッターだけ分解する人もいますが、それではシャッターの裏側にあるチャージリングのグリスアップが出来ません。リングがスムーズに動かないと、巻き上げクランクが途中から急に重くなります。
スローガバナーユニットの上面が傷だらけです。シャッターを組んだ後のチェックをする時に、チャージリングをドライバー等で引っ掛けてチャージしようとした痕です。これではギア穴まで傷付けてしまう危険があります。
E型は、撮影レンズとボディーの間の遮光に、布で出来た袋蛇腹のような物が付いています。これを知らずに無理に外そうとして破けてしまった固体をたまに見ます。F型になるとモルトのようなケバケバで済ませているので、レンズボードの着脱は楽になります。
横の巻上げクランク系のオーバーホールです。ユニットを外すと、またこれも繰り出しカムにグリスがべったりと付いています。
無駄な部分にたくさん塗っても意味がありません。古いグリスを落として、新しいグリスを可動部分にだけ適量塗っておきます。
繰り出しカムにはグリスがべったりだったのに、なぜか巻き上げクランク軸のグリスは抜けてしまっています。これではクランクが重いはずです。クランク軸にも清掃後にグリスを入れます。
各可動部のグリスアップや注油をし、ユニットを組み上げて出来上がりです。ここをオーバーホールすると、巻き上げクランクがてき面に軽くなるので、やった実感が感じられます。
ピントノブがある方の側面も開けて繰り出しカムをグリスアップします。V字に見えるスプリングは、繰り出しノブに付いている被写界深度の指標を動かすカムのスプリングです。
それにしても、この固体を以前修理した人は、革を貼る時に接着剤を余程たくさん塗ったようで、革はなかなか剥がれないし、剥がした痕には接着剤がぶ厚く残っています。このまま再び革を貼ると厚みが出てしまうので、面倒ですが接着剤を一度綺麗に剥がして行きます。こういうのは無駄な手間ですね。
革は、また修理する時には剥がさなければいけないので、次のことを考えて、「簡単には剥がれないけど、綺麗に剥がせる」方法で貼らなければなりません。これは修理屋さん各自でいろいろ考えているようで、両面テープで貼ってある固体も時々見掛けます。
全てのオーバーホールが終わり、チェック後に全ての革を貼って出来上がりです。二眼レフは、革を剥がしたり貼ったりする手間が掛かるのが面倒ですね。
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