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Channel: カメラ修理屋の気まぐれ雑記帳
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レリーズが押せないライカM3

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カメラ屋さんから、
巻き上げてもシャッターボタンが押せないM3が来ました。
フィルムを入れずに押すと押せるのですが、
フィルムを入れると押せなくなります。


シャッターボタン自体が押せないという症状の原因は、
まず間違いなく巻き上げギアのタイミングずれが原因です。
Mライカは、
巻き上げの途中ではレリーズが押せないようになっています。
これは巻き上げが完了すると、
巻き上げ軸の外周にある切り欠きがレリーズ軸の凸のところへ来て、
レリーズが押せるようになっているからです。

下の画像は、スプールを外して奥を覗いてみたところです。
巻き上げ軸外周の切り欠きが、
レリーズ軸の凸の位置に来ているのが分かります。
この状態になるとレリーズボタンが押せるのです。

イメージ 2




しかし今回の固体は、
巻き上げても切り欠きが凸からずれてしまっているので、
レリーズボタンが押せないのです。

イメージ 1



フィルムを入れていない状態だと巻き上げ軸に抵抗が無いので、
ぎりぎりで切り欠きがレリーズ軸の凸に来ていたのですが、
フィルムを入れるとバックテンションが掛かるので、
ギア同士のバックラッシュ(遊び)の分だけ回転が足りなくなり、
切り欠きが凸のところまで僅かに届かなくなっていたのです。


これは、以前分解した人が組む時に、
巻き上げ軸とスプロケット軸を繋ぐアイドラーギアを、
正しい位置にして入れなかった事が考えられます。
そこでアイドラーギアを正しい位置にして入れ直したのですが、
???
なぜかまたシャッターボタンが押せなくなります。
底の切り欠きを見ながら巻き上げて行ってみると、
なんとレリーズ軸の凸の位置が動くではないですか。


そこで上にある巻上げユニットを外してみると、
本来ならレリーズ軸が動かないようにと引っ掛けるはずの棒に、
軸が引っ掛かっていませんでした。
下の画像のピンセットで挟んでいるのがレリーズ軸で、
軸の下にあるレバーの先にある凹を、
穴の中でボディー側の棒に引っ掛けなければいけません。

イメージ 3


引っ掛けるのを忘れてしまったのか、
巻き上げユニットを組む時に外れてしまったのでしょうか。
その時はレリーズが押せたので裏側まで確認しなかったのでしょう。
困ったものです。
正しく引っ掛けてユニットを組み直しておきました。



しかし他の部分もチェックしてみるといろいろと粗がありました。

バネが正しく引っ掛けられてなかったり・・・
(下の切り欠きに引っ掛けます)

イメージ 4





底穴の蓋がずれて穴が見えていたりと、
なんだか随分慌てて組み上げた様子が伺えます。

イメージ 5





他にもシャッターブレーキが全然効いていなかったり、
シャッタードラムのテンション調整がデタラメで、
先幕がやたら強く巻き上げられていたりと、
特に気になったところは修正しておきました。
シャッターブレーキの状態が良くなく分解したいところなのですが、
そうなるとバラバラにするのでオーバーホール扱いになります。
部分修理として修理を受けると、
修理個所以外にも気になってしまうことが多いのですね。
今回は特に気になる部分だけサービスで修正しておきました。



ところでこのヤフーブログ、ログインしていない人はコメントを見る事も書く事も出来なくされてしまいましたが、やはり苦情が殺到したようで、4月1日から元に戻り、ログインしていない皆さんからもコメントを戴けるようになりました。急にコメントが減って寂しい思いをしていたので戻って良かったです。これからもよろしくお願い致します。



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