先日、カメラ屋からM4が来たのですが、
その修理内容が「距離計が曇っているようだ」というものでした。
買ったお客さんが書いた説明書きによると、
斜光線の時に距離計像が薄くなって見難くなるとのこと。
思い当たる事があって早速上カバーを開けてみると、
案の定、M4にM6のファインダーユニットが入っていました。
M5までのファインダーに付いているブライトフレームは、
極薄いガラスにフレーム枠と距離計枠をフィルム印刷し、
その上からまた極薄いガラスを貼り合わせてあります。
(M3のフレーム)
フレーム枠の上にはスリットが開いた金属の枠を取り付け、
その金属枠をレンズの焦点距離に応じて動かし、
ファインダーで見えるフレーム枠を選択しています。
ところがM4-2以降のファインダーはガラスを使うのをやめて、
全て金属枠のスリットで表示するようになりました。
ガラス面だと静電気等でホコリが付きやすく、
それが拡大されて見えるので気になります。
何よりコスト的に安く出来るのでしょう。
ところが、金属枠のスリットには厚みがあるので、
斜めに光が入った時に枠の内側が反射して光ってしまいます。
(距離計像枠の左側が光ってしまっている)
ブライトフレームの枠なら光っても影響は無いのですが、
距離計枠が光ると距離計像も乱反射して見難くなってしまうのです。
M5までのガラス印刷のフレームは、
当然ながら斜めから光を当てても距離計枠は反射しません。
(M3のフレーム)
ライカもその欠点を知っていて、
M6の後期から対策をしています。
ブライトフレームへ光を反射させているミラーの内側の穴を大きくし、
距離計のある中心部への光量を下げるというものです。
135mmフレームの光量が落ちてしまいますが、
斜光線の時の距離計は見やすくなったようです。
また関東カメラサービスでは距離計枠に丸い筒を付け、
レンズフードのようにして斜光線を防ぐ改良を受けているようです。
ただこれも一部のフレーム枠に陰りが出るようです。
こうやって見ると、
やはりM5までのガラスフレームが優秀だと思うのですが、
唯一の欠点は、
ガラスの張り合わせに使うバルサムが切れることです。
バルサムが切れると、フレームや距離計にポツポツやヒビが見えます。
(まるで引っかいたようにバルサムが切れています)
また、M4-2以降のフレームには、
焦点距離ごとのフレーム切り替え枠にクリックが付きます。
ですから調整不良で時々見受けられる、
「他のフレームがチビッと見えてしまう」という事がありません。
結局どちらが良いかは、お客さん次第というところでしょうか。
現在、ライカ社にファインダーの修理を頼むと、
当時の部品はもう在庫が無く、
M6のファインダーユニットに交換するという話を聞きます。
この固体もそのひとつなのではないでしょうか。
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