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Channel: カメラ修理屋の気まぐれ雑記帳
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油だらけのレンズ

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ブログではこのところ撮り鉄ネタが続きましたが、
仕事は忙しいままです。
休みの日に撮りに行っているだけなのですが、
あまり仕事をしていないように思われると心外なので、
(誰に?)
仕事の話も書いておきます。


今まで何度も、
シャッターにオイルを差し過ぎて羽根にオイルが回り、
シャッターが羽根が動かなくなったという修理を書きました。
今回は、また違ったパターンの修理が来ました。
ハッセルの標準レンズ・プラナー80mm/f2.8なのですが、
シャッターを切っても絞りが閉じないという故障です。

分解してみると、
絞りリングやシャッターリングなどの可動部分の全てに、
グリスがたくさん塗ってありました。
もちろんシャッターの中もグリスがたっぷり。
これらが溶け出して、絞り羽根に付着していました。
全て分解してグリスを拭き取ります。
せっかく整備してあるのに、二度手間ですよね。

イメージ 5


スローガバナーにオイルを差し過ぎているというのは、
今まで何度も経験していますが、
グリスの塗り過ぎというパターンは初めてです。
擦れる部分にグリスを塗りたくなるのは分かりますが、
雑にぺペッと塗ると、こういうことになります。
リング等は、塗ってから軽く拭いた位で良いのです。



そして何と、立て続けにオイル過剰レンズの修理でした。
エルマリート28mm/f2.8なのですが、
カメラ店から預かった時点で、
既に絞りリングの下側からオイルが滲み出ていました。
そして分解してみてビックリ!
もう、レンズ全体がオイルでベタベタでした。

イメージ 1



立てておくとオイルが垂れてきます。

イメージ 2



こうなると、レンズ外周までがベタベタです。

イメージ 3



何でこんなにオイルを差したのか、
ヘリコイドを分解して分かりました。
古くなったグリスが固形化していたのです。
多分、ピントリングが動かなくなっていたのでしょう。
この時代のライツのグリスは固形化するような品質ではないので、
後から塗られたグリスの品質が悪かったのでしょう。
そこで、動かないヘリコイドを動かそうと、
隙間から大量のオイルを差したようです。
もちろんヘリコイドもオイルまみれです。

イメージ 4


このレンズに関しては、
質の悪いグリスを塗った人と、
それで固着したヘリコイドにオイルを多量に入れた人、
二人が原因です。
多量に注されたオイルはミシン油のような臭いがして、
部屋に臭いが充満して気持ち悪くなりそうでした。
一体、どんだけ注したの!と言いたい修理でした。

グリスにしろオイルにしろ、
程ほどにして欲しいものです。

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