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Channel: カメラ修理屋の気まぐれ雑記帳
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プロミネント35

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久しぶりに、
プロミネント35のオーバーホールをしました。
10年ぶりくらいかもしれません。


イメージ 3

最近はめっきり人気が無く、修理も殆ど来ません。
というのも、
プロミネント用のノクトン50mm/f1.5のレンズを、
ライカマウントで使えるアダプターが発売されると、
レンズのノクトンだけ凄い人気となりました。
中にはノクトン付きのカメラごと買って、
「カメラはいりません」と言って店に置いて行く人まで出ました。
そんなことがあって以来、
今や、売っているプロミネントの殆どにノクトンが付いていません。
そうなると、あまり売れないようなのです。
フォクトレンダーのフラグシップ機なのに可哀想ですね。
フォクトレンダーらしく、
凝った構造をしている面白いカメラなのですが。


で、思い出しながら久しぶりにバラします。

イメージ 1

部品点数が多いので面倒なのですが、
好きなカメラだと、あまり苦になりません。


このカメラは、
ボディー側にレンズシャッターが付いていて、
レンズ交換が出来るカメラです。
シャッターには、普通の羽根以外に、遮光用の羽根が付いています。
レリーズボタンを押すと、まずこの遮光羽根が開き、
その後でシャッター羽根が開閉します。
このカメラをお持ちの方は、
裏側から見ると、レリーズボタンを押すに従って、
手前の羽根が開いて行く様子を見る事が出来ます。

今回の個体は、いつも愚痴っているとおり、
シャッター羽根にオイルが回っています。
遮光羽根までオイルが回っているので、
いつもより倍の枚数をクリーニングしなければなりません。
ああもう!

イメージ 4



プロミネントのピント合わせは、
ボディー側にあるピントノブを回すと、
レンズマウントがあるシャッターごと前後してピントを合わせます。
下の画像は、シャッターごと前後させるユニットです。
フォクトレンダーは、この時代からユニット化するのが得意で、
いつもながら感心させられます。

イメージ 2


右側に出っ張っている棒を押すとシャッターが前後します。
この仕組みは昔ブログに書いたので、
ご覧になっていない方は、こちらでご覧下さい。





距離計は、基本的に同時代のベッサⅡと同じです。
プリズムを使った凝った作りなのですが、
倍率が低く、基線長も短いのが難です。

イメージ 5




後に、アルバダ式のブライトフレームを入れたⅠa型や、
等倍ファインダーを組み込んだⅡ型が発売されます。
Ⅱ型のファンダーはビトマチックと同じで見やすいですが、
無理やり組み入れた感じで、カッコ悪くなってしまいました。

イメージ 6



プロミネントは、
シャッターが粘る程度で基本的には丈夫なカメラですが、
ピントノブのグリスが劣化していると、
ノブを回した時に、シャッターを繰り出す時は重く、
引っ込める時は軽過ぎてピント合わせがし辛くなります。
古いグリスを取って重めのグリスに交換すると、
気持ちの良いフィーリングになります。

イメージ 7




今回、久しぶりに分解したので忘れていた部分もありましたが、
やはりフォクトレンダーのフラグシップ機だけあって、
良く出来たカメラだと思いました。
もう少し人気が出ても良いと思うのですが残念です。
ノクトンでなくてもウルトロンは名レンズですし、
35mmのスコパロンや100mmのダイナロンも楽しめます。
交換レンズ用のターニットファインダーも、
ひっくり返すとひとつで、
35mm・50mm・100mmを使える面白いものです。

イメージ 8



私も、久しぶりにフィルムを入れて使ってみようかな。


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