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Channel: カメラ修理屋の気まぐれ雑記帳
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ビテッサLの修理

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久しぶりにビテッサの修理が来ました。
面白くて私の大好きなカメラなのですが、
最近はあまり人気が無いそうで残念に思っています。
人気復活のためにも頑張って直さねば。

イメージ 1


このビテッサを受け取った時は、巻き上げのプランジャー棒が完全には収納されず、半分押し込まれたところでロックしていました。この症状を見てすぐに「ああ、やってしまったな」と思いました。分解してみると、やはり・・・


ビテッサの特徴である巻き上げのための長いプランジャー棒は、上カバーやプランジャーを外そうと思うと、上に付いている丸いキャップが引っ掛かってしまい邪魔です。このキャップ、初期のモデルは単にはめ込んであるだけなのですが、その後のモデルは、まず上にある黒い目隠し蓋を剥がして中にある緩み止めネジを緩め、それからキャップを回して外します。しかし、中のネジにもキャップのネジにも緩み止めがたっぷり付いていて、なかなか回らないのです。この個体もペンチ等で思いっきり回したようで、回らずにペンチが滑ってしまい、キャップの外周にある縦溝が完全に無くなっていました。そしてキャップは回らずにプランジャー自体が回ろうとしてしまい、プランジャーの下側に付いているシャッターチャージ用のレバーが曲がってしまっていました。

イメージ 3



レバーが曲がると、蓋にあるチャージ機構に挟まってしまってしまってプランジャーが動かなくなってしまいます。ですから、キャップを外そうとして強く回さないようにして下さい。プランジャーを外して曲がりを直しておきました。

イメージ 2




底板まで外すので、ついでにオーバーホールしておきましょう。

イメージ 6


イメージ 5



ビテッサを分解するたびにいつも凄いなと思うのは、
蓋の開閉機構です。
1950年代に、よくここまでユニット化したものです。
金属萌えにはたまりません!

イメージ 4


これでこのビテッサも復活です。
直って良かった。


ついでにビテッサのプランジャーの注意点を書いておきます。
ビテッサのプランジャーは、最後期型を除き、シャッターボタンを押すとプランジャーが勢い良く飛び出してきますが、プランジャ-が上に抜けないように止めているのは、今回曲がっていたシャッターチャージ用のレバーです。繰り返しバンバンと飛び出させていると、レバーを止めている根元の溶接が外れてしまう事があります。じつはその昔、私のビテッサが、シャッターボタンを押したとたん、プランジャーが空高く飛んでしまった事がありました。(浅草の早田さんに直して戴きましたが、扱いが悪いと怒られました)ですからシャッターボタンを押してプランジャーを出す時にはプランジャーの上に指を添え、ゆっくりと出してください。今回と同じ最後期型だけは、収納してあるプランジャーを一旦奥まで押し込むと上がってくるように改良されましたが、プランジャーを収納する時にコツ(押し込む少し手前の微妙な位置で離す)がいるので、少し面倒ですね。


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