可愛くて綺麗なカメラが来ました。
ミノルタ・ミニフレックスです。
このカメラは、ベスト判フィルムを使う二眼レフで、
4×4判で撮影します。
1957年にローライが発売した4×4判のローライフレックス、通称「ベビーローライ」が、小型でかわいい二眼レフとしてアメリカでヒットしました。そこで日本でも、いろいろなメーカーが4×4判の二眼レフを発売しました。他社の4×4判が、いかにも6×6判二眼レフを縮小したようなデザインにした中で、このミニフレックスは、デザイン的にも女性向に作られたようです。
機能的には特に変わったところは無いのですが、面白いのはスポーツファインダーで、他の二眼レフがファインダーフードの中に組み込むところを、このカメラでは、横にあるアクセサリーシューに、別体のスポーツファインダーを取り付けるようになっています。このスポーツファインダーが無い個体も多いようですが、普段は使わないので無くしてしまうのでしょうね。
今回は、オーバーホールという事です。まずはシャッターからバラして行きましょう。普通の二眼レフは、シャッターを出すには表面の革を剥がさないとネジが出てこないのですが、このカメラは正面側には革が貼って無いので助かります。
シャッターはシチズンのMLVです。シャッター羽根にも絞り羽根にもオイルの付着は無く綺麗そのもので、状態の良いシャッターです。スローガバナーとセルフタイマーは洗って注油をしておきましょう。リング系もグリスを薄く塗っておきます。レンズも綺麗にしましょう。
次は側面を開けます。こちら側には巻き上げノブがあり、主に巻き止め装置が入っています。巻き上げてフィルムカウンターが1コマ進むと巻き上げがストップする装置ですね。簡単な構造で良く出来ています。分解して各軸にグリスを塗っておきました。
次は反対側を開けます。こちらにはピントノブがあります。なんとこのカメラ、こちら側にしか繰り出し機構がありません。片持ちなのです。それでも大丈夫なのは、4×4判でシャッターやレンズが小さく、前板の重量が軽いからなのでしょう。
やたら繰り出しノブが軽いので、軸に重めのグリスを入れます。普段は使わないような粘度の高いグリスを入れたのですが、それでも軽めですね。
グリスは、粘度の違う7種類のグリスを持っていますが、普段は軽めから4つくらいまでしか使いません。左側のグリスは一番軽いグリスで、レンズのヘリコイドに良く使うので減りが早いです。
ファインダーフードを外して、反射ミラーとスクリーンをクリーニングします。普通の二眼レフはネジ4本外せばフードが外れるのですが、このカメラは、フードが直接本体に取り付けてあるので、軸を抜かないとフードが外せません。これは面倒ですね。反射ミラーには少しだけ腐食がありますが、交換するほど酷くはありませんでした。
最後に、スポーツファインダーを取り付けるロックノブがとても重いので分解してみたら、軸の部分が錆びていました。錆を落としてグリスを塗っておきます。
今回のカメラには、「かわうそ商店」さんの作ったベスト判用のスプールが入っていましたが、これを巻き上げ側に入れたら上手く入らず、押し込んだら今度は出せなくなってしまいました。見てみると、このカメラの軸穴に対してスプール軸の直径が、ほんの僅か(0.1mm位)だけ大きいようです。軸を僅かに削って入るようにしておきました。個体差なのか分かりませんが、このスプールをミニフレックスで使われる際はご注意下さい。
たまにこういうカメラが来ると、息抜きになって嬉しいですね。私もかわいいカメラは好きなので、一台欲しいところです。
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