レチナ・ビテッサ・コンテッサの修理が来ると、何かとてもホッとします。このブログのタイトルバックにも載せてありますが、これらの3台のカメラは、私にとってクラシックカメラの基本となるカメラです。
今回、オーバーホールの依頼で来たのはレチナⅡです。
比較的珍しいエクターレンズが付いています。
まずはシャッターを外してヘリコイドを分解します。
劣化したグリスが硬くなってこびり付いています。
オーバーホールを受けていないレチナⅡやⅡaの殆どは、ヘリコイドのグリスが劣化していて、ピントリングがスカスカだったっり重くなっています。ここ固体も例外ではありませんでした。ヘリコイドを分解してみると、グリスが劣化したままピンとリングを動かしていたために、ヘリコイドの外周に傷が付いてしまっています。
軽く細かい紙ヤスリで擦ってからグリスアップをします。
ヘリコイドの溝も1本1本綺麗にしておきます。
こうやって組んだヘリコイドは、とてもスムースに動きます。
シャッターはお馴染みのコンパーラピッドです。
シャッター羽根を動かすリングの動きが渋いようなので、リングにモリブデン粉を塗っておきます。もちろんこの場所に油分は厳禁です。
あとはシャッターを組み立てて終わりです。
ファインダーは、レンズやプリズムをクリーニングしても距離計像が見難いので、ハーフミラーを交換します。それでも何だかファインダーの見えがイマイチだと思ったら、接眼レンズが老眼用の度になったものに交換されていました。他のカメラのレンズを削って入れたようですが、上手く丸く削れなかったようですね。
レチナの距離計の動きが何となく遅い固体も多く見掛けます。これは、距離計を動かすレバーに塗ってあるグリスが硬くなっているからです。ここも綺麗にして新しいグリスを薄く塗っておきます。
巻き上げが重いので、巻き上げ軸を外してグリスアップします。
巻き止めのリンク等も外し清掃注油しておきます。
レンズはエクター47mm/f2です。アメリカ製ライカコピー機の「カードン」に付いているレンズとして有名ですね。レチナ用に開発されたので焦点距離が47mmに設計されたので(クセノンもヘリゴンも本当は47mmです。)カードンの場合はWヘリコイドにして付けています。
この頃のカメラには、同じカメラなのに、いろいろなメーカーのレンズが付いていることがあります。これは、カメラを製造するペースより、レンズ製造の方が時間が掛かるので、カメラ製造に対してレンズの供給が間に合わなくなります。そこで数社に同規格のレンズ製造を頼んでおくためです。もちろんレンズメーカーによって少しレンズ性能が違いますが、輸出先や販売時期によってレンズが決められたようなので、ユーザーが好きに選べるという事は無かったようです。
レチナは大好きなカメラなので、忙しくない時には修理をしていても苦労は感じません。レチナなどはオーバーホール代で安い個体なら買えてしまいますが、やはりきちっと整備されたカメラは、ファインダーの見えもクリアーで、各操作もスムーズに動いて気持ちが良いものです。
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