鉄ネタが続いたので、
ここで最近修理した面白いカメラを紹介します。
イロカのカメラは個性があるものが多いのですが、
この「ラピッドB」というカメラも見た目は普通ですが、
大変面白いカメラでした。
まずは何より巻き上げレバーが面白い。
レバーは折り畳み式でなぜか左側にあり、
巻き上げレバーと巻き戻しノブが同軸なのです。
ですから巻き上げレバーの下にパトローネが入り、
巻き上げる方向と反対方向にフィルムが送られて行きます。
フィルムを入れて裏蓋を開いたまま巻き上げてみると、
なんとも不思議な感覚を味わえます。
しかもその裏蓋の開け方が分かり難い。
勘を頼りにいろいろとやってみたら、
「巻き戻しノブを持ち上げてから捻る」というものでした。
しかも裏蓋は全部取れてしまうので、
もしやってみる時は裏蓋を落とさないように。
そして巻き戻し方法も分からない。
これもいろいろとやってみて分かったのですが、
なんと底にある「MADE IN GERMANY」と書かれた、
丸いところを押すというものでした。
巻き戻しだったら普通は「R」と書くところですが、
これは絶対にわざと分からなくしていますよね。
確信犯。
そして構造も「へんてこりん」です。
左側にある巻上げレバーで右側にあるスプールを回すのですから、
一体どういう構造になってるかと楽しみに開けてみたところ、
SLか?と思うようなロッドが左右に走っていました。
なんでわざわざこんな構造にしたのでしょう。
しかし設計が巧みで部品の材質も良く、
巻き上げは意外と軽くてスムーズです。
ヘリコイドもピントリングへ変な固定のしかたをしています。
ヘリコイドの外周を大きなCリングで止めてあり、
そのCリングの切り欠き部分を、
上にある四角い部品が押し付けて固定してあります。
そして切り欠きを押し付けている部品は、
底からネジで押し付けたり緩めたりできるのです。
つまりそのネジを緩めてヘリコイドを微妙に動かして、
組み立て時にピント調整をするように考えられています。
このように、
このカメラは使用方法も構造もなかなか面白いカメラでした。
最近はライカとレンズの仕事ばかりが多いので、
たまにはこういうカメラが来ると楽しくなって良いですね。
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