今年は、昨日から仕事を始めました。
今年最初の仕事は、
イタリア製「ガンマⅡ」のオーバーホールでした。
(レンズが無かったので、なぜかインダスターを付けてみました)
ガンマは以前Ⅰ型を修理した事がありましたが、
Ⅱ型は初めてです。
Ⅱ型には、Ⅰ型には無かったスローシャッターが付いています。
Ⅰ型をやった時のことを思い出すと、
スロー機構を付ける場所なんてあったかな?と思いましたが、
なんとファインダーの下にスローユニットを付けていました。
(フィルムの圧板がローライ35のような挟み式です)
またⅠ型は独自のバヨネットマウントでしたが、
Ⅱ型はライカマウントになりました。
きっと交換レンズを出す余裕が無くなったのでしょうね。
ただ、なぜかライカマウントのレンズを取り付けると、
少し行き過ぎて指標が3時の方向へ行ってしまいます。
また、Ⅰ型では横にあった距離計のコロが、
Ⅱ型では真下に来ています。
シャッターは、Ⅰ型と同じ例の鎧戸シャッターです。
同じような構造の「ギロチンシャッター」は戦前からありましたが、
湾曲させて横幅を狭めたところが面白いですね。
カメラの前面の左右にある出っ張りは、
シャッターの端が出っ張ってしまうのであるのですが、
これがデザインの特徴になり、
またグリップもしやすくなっています。
シャッター自体の構造は簡単で故障も少なそうですが、
何せ重い金属の板を動かすので速いシャッター速度は出ません。
一応1/1000秒が付いていますが、そんな速度は出ませんね。
面白いと思ったのは巻き上げギアのラチェットです。
こんな構造のラチェットは初めて見ました。
これでもチャンとカチカチと動きます。
Ⅱ型になっても作り自体は量産向きではなく、
特に距離計の作りが華奢で困ります。
距離計の調整は反射プリズムの軸自体を動かすというもので、
0.1mm動かしただけで距離計が大きくズレるので、
距離計調整は至難の技です。
しかもやっと合わせてから上カバーを被せて組み上げたら、
なんと距離計が狂っているではないですか。
おかしいなと思って上カバーを外して裏側を見てみたら、
シュー等を止めるネジが裏側に長く出っ張っているではないですか。
このネジが距離計ユニットを押していたのです。
こういう仕上げは困るなぁ…
しかし、組み上げてみると巻き上げもスムースだし、
なかなか魅力的なカメラですね。
何よりこの整っていない不思議なデザインが魅力です。
後ろから見た姿も独特ですね。
ただ使うのにひとつだけ困るのは、
見て分かるように巻き戻しが無く、
Wマガジンで使うようになっていることです。
だからフィルムカッターが付いているのですね。
(ファインダー横のレバーです)
イタリアのカメラは、
ヤヌアにしろISOスタンダードにしろデザインが魅力的で、
また独自の発想を持った機能を付けた物が多いのですが、
どれもあまり多くは作れずに終わりました。
カッコイイけど壊れやすい、
やはり昔のイタリア車みたいですね。
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