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Channel: カメラ修理屋の気まぐれ雑記帳
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Leica 72

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ライカ72が来ました。
ライカⅢaをベースにハ-フ判にしたカメラで、
36枚撮りフィルムで72枚撮れるところから72と呼ばれています。
1950年から1963年までの13年間作られ、
カナダ製とドイツ製のものとがあります。
今回来たのはドイツ製で、製造数は僅か33台と言われています。
 
 
イメージ 8
 
 
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このカメラが作られ始めた年には既にⅢfが発売されています。
なぜわざわざⅢaをベースに作ったのでしょうか。
ライカをハーフ判で使うのは特殊用途が殆んどだったのでしょうから、 
最初から量産するつもりはなく、
注文があると残っていたⅢaの部品を使って作ったのでしょう。
 
フィルムカウンターは、
ハーフ判に合わせて75枚まで表記があるものです。
シャッターダイヤルは、
フラッシュバルブのシンクロ同期装置用の爪があるものが付いています。
ドイツ製72の巻き上げノブはⅢaのままと言われていますが、
このカメラにはⅢfのノブが付けられています。
しかし偽物を作りたいならⅢaのノブなどすぐに入手出来ます。
ハーフ判は特殊用途や業務用として使われる事も多いので、
シンクロ用ダイヤルと一緒に付け替えたのでしょう。
 
イメージ 6
 
 
 
貼られているグッタペルカはⅢc時代のシャークスキンです。
これも余ったⅢcの物を使ったと思いきや、
ⅢaとⅢcではボディーの大きさが違いますから、
そのままではⅢc用のシャークスキンは貼れません。
72型用に作ったとも思えず不思議なものです。
 
  
 
上カバーに刻印されている製造番号は72の製造番号と合っています。
上カバーを開けたところで、
まずは本体に刻印されている製造番号も同じという事を確認しました。
 
このカメラのファインダー窓にはハーフ判用の枠が付いています。
初期のドイツ製はこの窓が後付けされていいて、
後期やカナダ製は最初からハーフ判用のファインダーになっています。
枠を外してみると裏側には反射防止加工がされています。
なかなか良い作りです。
 
イメージ 4
 
 
 
接眼部の方にもハーフ判用の枠が入っていました。
 
イメージ 5
 
 
 
 
Ⅲaの底蓋を外すと普通は底の部品が丸見えですが、
この固体はⅢc以降と同じようなカバーがしてあります。
 
イメージ 1
 
 
 
そのカバーを開けてみると、
そこにはⅢc以降と同じシャッターブレーキが付いていました。
 
イメージ 3
 
 
Ⅲaにこのシャッターブレーキが付いているのは何とも不思議な光景です。
付ければ付くものなのですね。
下の画像は、上がⅢf、下が普通のⅢaです。
この72型が2つのモデルの折衷型だというのが分かると思います。
Ⅲc以降の良い部分は採用しようということなのでしょうね。
 
イメージ 10
 
 
 
 
 
外周のカバーを外した裏側を見てみます。
 
イメージ 2
 
ここに枠を接いだ痕などがあれば偽物です。
またフィルム送りも半分になっているか確認します。
ニコン3Mの時は巻き上げ自体を半分にしていましたが、
このカメラでは、
スプロケットの直径を半分に細くした部品を使っていました。
ギア比を変える必要も無くとても簡単な方法です。
 
イメージ 7
 
 
 
珍品ライカには偽物も多くありますが、
このライカ72は本物と言って良いと思います。
 分解した後は普通のⅢaとしてオーバーホールをしました。
 
 
この72型には上カバーに18×24の刻印がありません。
私が写真で見た72型には全て18×24の刻印がありましたので、
分解するまでは「もしかして偽物?」と思いましたが、
じつはこの固体は製造番号から見ると72型の2台目なのです。
もしかしたら最初の数台は刻印が無かったのかもしれません。
また上カバーをぶつけたりして後で交換されたのかもしれません。
 
ただ、珍品のライカは気を付けなければいけません。 
以前、ある店がライカ250を売りに出した事がありました。
私も見ましたが、誰が見ても本物としか見えませんでした。
その250は結局海外のディーラーが買って行ったのですが、
後になって偽物という事が分かりました。
なんと同じ製造番号を持っている人が現れたのです。
その人の物は父親が当時新品で買った物だったのです。
 
こういう事もありますので、
珍品を買えるお金持ちの方は、充分気をつけましょう。
 
 
 
 

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